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執筆者の写真Aiko Sada

研究者コミュニティにおける懇親会のあり方を考える

コロナ禍で変化する学会や懇親会のあり方。先日は幹細胞シンポジウムの若手会(つくしの会)もオンライン開催し、新しい研究者コミュニティのあり方、ネットワークの構築の仕方を探っています。


先日Twitterで話題になっていたのは、懇親会や研究者同士の飲み会における問題。学問を深めるためにざっくばらんに語り合う場はサイエンスに重要である一方で、現状、日本の研究者コミュニティにおいて研究者が集う場所が、本当にそういう機能を果たしているのか、議論が必要なように思いました。


以下、私のつぶやき。けっこう賛同の意見が多かったことにびっくり。


学会の懇親会や飲み会は、モヤモヤの溜まるの場所。サイエンスのディスカッションを心置きなくできる場であるならいいのだけど。陰口やゴシップが飛び交ったり、直接言われることもあるので(無意識の偏見含む)、嫌な気持ちになって帰ることもしばしば。


お酒が飲めない人。子育て世代。ハラスメントにあいやすい女性や学生、若手研究者。日本語がネイティブでない留学生。人と話すのが苦手な人。金銭的なこと。知り合いが少ないコミュニティでの疎外感。


懇親会に参加できなかったり、したくなかったり、参加するけど楽しめていなかったりする人はけっこう多いのにもかかわらず、懇親会に出ないと本業である研究に影響があるようなプレッシャーを感じ、さらにモヤモヤ・・・


私も、お酒が飲めない。一口でも飲むと、脳貧血?状態になって、普通に倒れる。飲まない理由を聞かれるので説明するが、場がシーンとなったり、お酒の素晴らしさを語られたり。飲まないと本人が言えば、そうですか、ですむ社会になってほしいな、と。そもそもお酒を飲めない人が、懇親会や飲み会に来ているということは、そこにいる人達とお話をして交流をしたいということ。飲まない人を会場にちょこちょこ見かけるが、居心地悪い思いをしないよう気をつけたいと思う。


あと、自分より上の世代の女性研究者が懇親会の場にいてくれるだけで、自分はちょっと安心感があるので、自分より下の世代の学生さんが居心地悪くならないようにと懇親会や飲み会に出るというのも少しある。無力なことも多く申し訳ないけど、「それ、セクハラっす」と言える相手もいるので。お酒が入ることで、また入っていないはずの学会のポスターセッションなどでさえも、特に女性の学生さんに対するセクハラ問題は、未だ根深い。


「お子さんどうしているんですか?」も毎回聞かれるが、若手の男性研究者に向かって「お子さんどうしているんですか?」と聞く人はあまりいないような。私が「子供はいつも夫が見ています。」というと大絶賛をうけることも。男性研究者の奥様をそこまで大絶賛する人はあまり見かけないのに。


そもそも子供が小さいときは、出張が難しい。そして時間がない。「女性研究者は、学会とか懇親会とかに出てこないからねぇ。」と言われても・・・。でも、こういうのが女性研究者にとって、圧倒的に不利にはたらいているのだろうな、という現状。学会で託児所が利用できることが増え、それは非常にありがたいことであるが、だからと言って、「じゃあ子供連れてくればいいじゃん。」ということにはならない。子供と一緒に、大きな荷物を持って移動し、慣れない土地で面倒を見て、ましてや宿泊するのなんて、本当の本当に大変ということへの周囲の理解が必要。ものすごーく準備に準備を重ねたのに、当日子供が熱出して、全部キャンセルとかもあるしね。


最近気付くのは、子育てで苦労している男性研究者の存在。特に自分と同世代か、下の世代で、普段あまり懇親会や学会に来れていない人と話をすると、「今子供が小さいので大変なんですよ。普段は出張控えています。」という人も意外と多い。ただ、そういう人が可視化されていない。


オンライン会議や懇親会が増えることで、ここらへんの課題にはアプローチしやすくなるだろうか。



気のおけない研究者仲間と楽しく語りあうのは好きで、楽しい。研究そのものの話もそうだし、日本のアカデミアがもっとこうなればいいのになど、ディスカッションとか問題提起とか。研究者同士で話すのが好きだから研究やっているってのはあるので。私は遺伝研で大学院生時代を過ごしたのだが、サイエンスについて、色んな人とあれこれ話した経験と人脈は、自分の研究者としての土台になっていると思う。


国際学会、例えばゴードン会議などで、参加者同士が最初はお互いを知らなくても、交流を深められるという形は理想なように感じる。オーガナイザーが学生と教員は積極的に交流せよ、知らない人同士で同じテーブルにつくように、などと呼びかけていたり、ハラスメントに関するアナウンスがなされていたりする。見習えるところはないだろうか。


もしかしたら、自分たちが楽しいと思っている懇親会の場が、そこにいる誰かにとっては居心地の悪い場所になってしまっているのかも?もう一度、きちんと考える必要がある。今後、自分も学会などの運営側の仕事が増えつつあるので、健全かつサイエンスを盛り上げられるような新しいコミュニティの形を作っていきたいと思う。


佐田

(本ブログ記事は、私個人の意見であり、所属組織や研究者全員の見解を示すものではありません。)

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